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学術雑誌にて、性器および泌尿器の諸症状に関する調査結果が発表されました

産婦人科専門医・吉形玲美医師が共著の論文「Online survey of genital and urinary Symptoms among Japanese women aged between 40 and 90 years(日本人の40歳から90歳の女性を対象とした性器および泌尿器の諸症状に関するインターネット調査)」が海外の学術雑誌「ClimactericClimacteric, DOI: 10.1080/13697137.2020.1768236-」にオンライン掲載にて発表されました。

本調査は、日本人の40歳から90歳の女性を対象とし、インターネットを用いて実施された大規模疫学調査。エストロゲン値が低下した日本人女性を対象として性器および泌尿器における諸症状の頻度を調査するために実施され、その結果、下記のような結果が示されました。

  • Online survey of genital and urinary Symptoms among Japanese women aged between 40 and 90 years
    -Climacteric, DOI: 10.1080/13697137.2020.1768236-
    H. Ohta , M. Hatta , K. Ota , R. Yoshikata & S. Salvatore

    【背景】

  • 先進国では高齢化に伴い健康寿命に対する関心が高まっている。女性は男性に比べて老齢化に伴う疾患のリスクが高く、運動能力低下、認知症と共に閉経後のエストロゲンホルモン減少に伴う症状であるGSM(閉経後性器尿路症候群)が最近問題視されている。

  • GSM症状の多くは、OTC(市販薬)を使用して個人でケアする人や放置する人も多く、放っておくと慢性化したり進行したりすることからQOLの低下につながることが多い。

  • GSMは、閉経後の女性の約半数に見られることから、QOLの向上のためにはそのケアの重要性が叫ばれている。

    【調査対象】

  • トータル75,072人にアプローチを行い、15,207人から回答を得、調査に適切であった10,000人を47都道府県からランダムに抽出した。

  • 内訳/

  • 年齢:40歳代:31,95250歳代:25,736, 60歳以上:17,384で、平均年齢は55.9

  • 閉経前の女性:24.8%、閉経後の女性:66.4% 閉経前後の女性:8.8%

    【結果】 

  • ・合計10,000人の回答者の中で4,488人(44.9%)が何らかの症状を有し、その中で3,546人(79%)が症状について心配しているとの回答であった。

  • ・さらに、2,173人(21.7%)が尿失禁であり、1,999(20.0%)が頻尿、1,648人(16.5%)がかゆみ、1,560人(15.6%)が臭いが気になると回答した。続いて緩み、乾燥、熱感の順であった。

  • ・性行為がある2,518人(25.2%)の中で518人(20.6%)が性交痛があると回答したが、性器の症状よりも泌尿器症状を多く有していた。

  • ・症状の中では、33.1%が性器の症状のみ、28.4%が泌尿器の症状のみ、38.4%が両方の症状を有していた。性行為が多い女性は、性器の症状が多く、性行為が少ない女性は泌尿器症状が多い結果であった。

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本調査結果から、性器や泌尿器の症状は一般的であり、かなりの比率で両方の症状を有することが明らかになりました。閉経の前後で症状の頻度を調査している他、本人がどの程度心配しているかも調査している点が特に注目されます。

性交痛や下部尿路症状は、閉経後の女性にとって、GSM(閉経後性器尿路症候群)の病理の観点からもごく一般的にみられる症状で、慢性かつ進行性疾患のため自然軽快はなく適切な処置が必要です。

多くの方が感じられている不快感に対し、確かなケアや情報が浸透することで、女性のQOL向上に期待が寄せられます。

Online survey of genital and urinary symptoms among Japanese women aged between 40 and 90 years(PDF:990KB)>>

GSM=Genitourinary Syndorome of Menopause 閉経関連尿路生殖器症候群。膣と外陰部の構造的委縮、それに伴う違和感や性機能障害、下部尿路機能に悪影響を及ぼす状態(かゆみ、痛み、尿もれ、性交痛など)の総称。