【日本総合健診医学会第53回大会レポート⑤】進興会 ミッドタウンクリニック名駅放射線技師 小瀬尚輝が登壇しました
日本総合健診医学会「一般口演23 CT・MRI」では、(医)進興会 ミッドタウンクリニック名駅放射線技師の小瀬尚輝が筆頭発表者として登壇し、全身MRI検査を用いた症例検討と今後の課題について発表しました。
演題:当院における全身MRI検査を用いた症例検討と今後の課題 ~導入から2年半経過して~
医療法人社団進興会 ミッドタウンクリニック名駅
小瀬尚輝(放射線技師)
新谷早紀(放射線技師)
森島夏未(放射線技師)
伊佐地優(放射線技師)
岡村友香(放射線技師)
大平紗由美(放射線技師)
今泉香織(放射線技師)
白木茂博(院長)
発表概要
全身MRI検査導入の背景

ミッドタウンクリニック名駅では、放射線被ばくを伴わない全身スクリーニング検査として、2021年12月より全身MRI検査をドックコースに導入しました。導入から約2年半が経過した現在までの症例検討と今後の課題について報告します。
検査対象と方法


2021年12月から2024年4月までに全身MRI検査を施行した515名(リピーター受診を含め613症例)を対象としました。平均年齢は53.0歳、男女比は334:279です。
MRI装置はCANON社製Vantage Elanを使用し、4chフレキシブルコイルを用いて頸胸部・腹部・骨盤部を3つに分けて撮像、検査時間は約30分です。主な撮像シーケンスはT2強調画像(冠状断面)と拡散強調画像(横断面)です。
検査結果

613症例のうち、全身MRI検査にて要精査(D/F)判定は20症例(3.2%)でした。
20症例のうち追跡調査が可能であったものは9症例(追跡率45%)でした。内訳は膵嚢胞性病変3例、胸部・肺野疾患3例、甲状腺疾患1例、婦人科疾患1例、整形疾患1例でした。
要精査判定20症例中7症例は他検査(CT・US)での指摘ではなく全身MRI検査のみの指摘でした。内訳は頸部疾患3例、整形疾患2例、膵嚢胞性病変1例、乳腺疾患1例でした。
他検査で指摘が無く全身MRI検査で指摘された主な症例
- 膵体部嚢胞
- 椎間孔腫瘤
- 乳腺拡散強調高信号域
- 口蓋扁桃腫大+頸部リンパ節腫大
- 多発椎体血管腫+下部肋骨拡散低下
- 腰椎腫瘍
- 副腎腫瘍
考察と今後の課題
従来のドックコースでは指摘が難しかった整形・頸部領域の所見が散見されたことから、全身MRI検査をドックコースへ取り入れる意義があったと考えられます。一方で、要精査(D/F)判定に対する追跡調査が半分に満たないことは今後の運営上の課題として改善を図りたいと考えます。