リゾートトラストグループの検診(健診)事業の価値
医療費の観点から見る検診の意義
私たちリゾートトラストグループの検診(健診)事業の価値について考えてみたいと思います。まず、医療費の観点について。私たち職員・社員が加入しているリゾートトラスト健保のような組合健保は、公的資金に頼らず自前で運営しています。一方で、国民健康保険では約5割もの税金等が投入されています。
私たちの検診(健診)事業は、早期発見・早期治療に寄与するとともに、病気を初期段階で見つけて重症化を防ぐことで、高額医療費の発生を抑えられるという側面があります。例えば、定期的な人間ドックや健康診断で高血圧の兆候を発見し、生活習慣の改善や適切な投薬治療を早期に始めることで、将来的に起こりうる心臓病や脳卒中といった重大疾患のリスクを低減できます。これにより、長期入院や高度な手術などの高額医療を避けられる可能性が高まれば、医療費の抑制につながるでしょう。
社会全体の視点と個人の視点
ただし、私たちの事業の価値を考える上で、大切な視点があります。それは、社会全体の視点と個人の視点を区別して考えることです。社会全体で見ると、早期発見・早期治療は医療費の高騰につながるという意見があります。早期発見による精密検査や、経過観察で足る段階での医療行為によりかえって社会全体の医療費が増加してしまうという見解は、マクロ的に正しい視点です。
ただ、私たち一人ひとりの立場で考えるとどうでしょうか? 自分や家族が自覚症状を感じた後に病院に行き、「この症状が出ていたら手遅れ、治療しても治らないから医療費を無駄遣いすることはない」と言われて納得できるでしょうか? ここが重要なポイントで、私たちの事業は、個人の立場に立ち、顧客お一人おひとりの健康を重視する立場をとっています。早期発見・早期治療は個人単位でみれば大きな意味があります。
高度な医療機器の活用と標準治療の効果
高度な画像診断機器の活用についていえば、日本のCTやMRIの使用率は世界でもトップクラスで、その検査コストは高額になるという意見もあります。しかし、これらの高精度機器を使用することで、従来の検査方法では発見が難しかった初期段階の病変や異常を見つけることができます。早期に発見・治療することは、多くの場合、標準治療で対応が可能です。進行した病気では高度で複雑な治療が必要になることがありますが、早期発見であれば、標準治療で十分な効果が得られることが多いのです。結果として、患者さん個人にとっては身体的負担が少なく、医療費の面でも比較的抑えられた治療を受けられる可能性が高まります。
過剰診断への対応
ただし、ここで注意が必要です。過剰診断や過剰医療のリスクも存在します。例えば、前立腺がんの可能性を調べるスクリーニング検査であるPSA検査では、高い値が出ても実際には問題がない場合が多いとされています。不安を増長し、侵襲性の高い追加検査を避けるため、私たちは定期的にドクター会議を開催し、過剰な検査や治療を減らす取り組みを続けています。
企業経営におけるリスク管理と検診データ蓄積の価値
私の知人に中小企業の社長さんがいるのですが、彼はこう言っています。「俺が倒れたら会社が潰れる。だから健康管理に気を使う」と。経営者の健康は会社の存続に直結する重要な問題です。社長が突然入院したら、取引先や金融機関からの信用が低下し、従業員も動揺するでしょう。定期的な検診は、こうした企業のリスク管理の一環としても重要な役割を果たしているのです。
また、検診データの蓄積も大きな価値です。定期的な検診は、単に今の健康状態を知るだけではなく、長期的に見ると非常に貴重な情報源となります。健康な人の検診データは宝の山なのです。ずっとデータを取っていくと、どこかで健康状態が変化するポイントが見えてきます。そこから病気の原因や効果的な予防法を見出し、医療の進歩に貢献できるのです。
検診事業の社会的意義
私たちの検診(健診)事業の価値は、単に個人の健康を守るだけではありません。ご家族や企業の未来を支え、医療に新しい知見を提供する重要な役割を果たしています。検診事業の仕事は会社や社会全体の健康を支えています。皆さんの日々の努力が、多くの人々の人生を豊かにし、企業や社会の持続可能性を高めているのです。これからも、この大切な仕事に誇りを持って、職員・社員一同取り組んでいきたいと思います。