DXで事業成長を実現するために
私たちの事業にDX(デジタルトランスフォーメーション)は本当に必要なのでしょうか?「新しいツールやシステムを導入すると現場の負担が増えるのではないか」「慣れたやり方を変えたくない」といった声も少なくありません。しかし、こうした懸念を乗り越えることが、事業の持続的な成長には欠かせません。
厳しい人手不足を背景にした必然性
現在、私たちは深刻な人手不足に直面しています。人材確保の難易度は今後も下がることはないでしょう。この状況下では、人員を増やすだけで成長を続けるのは現実的ではありません。したがって、DXによる業務効率化を前提とした業務変革が不可欠です。すなわち、DXは選択肢ではなく、事業成長を続けるための条件です。
たとえば、私たちのシニアレジデンスでは、かつて20人で対応していた業務を15人で遂行する状況にあります。この話を聞いて、「これ以上の負担は無理」と思う方もいるかもしれません。しかし、ここで重要なのは、これまでの延長線上で業務を捉えず、DXによって業務そのものを変えるという発想です。DXのゴールは、より少ない労力で、これまで以上の成果を達成することにあります。
DXの本質:業務の再設計
DXを「新しいツールやシステムの導入」と捉えるのは誤解です。その本質は、日々の業務のやり方をゼロベースで再設計し、根本的に変革することにあります。システムはそのための手段にすぎません。
導入の際には、現場のニーズを反映した業務プロセスの再設計が重要です。かつて医療施設へのシステム導入で、「後から後から出てくる要望」に応えようとカスタマイズを繰り返した結果、システムが立ち行かなくなった経験があります。このような失敗を防ぐには、要件定義を徹底し、導入前に業務全体をゼロベースで見直す必要があります。
ポイントは「システムで何ができるか」ではなく、「私たちの仕事をどう変えられるか」を追求することです。「できる機能はすべて欲しい」といった要望は慎むべきです。カスタマイズは20%以内に抑え、標準機能の活用で最大限の効率化を図ることが求められます。
機器更新の注意点
医療機器の更新についても同様に慎重な計画が必要です。長期間使用している機器が、ある日突然「これ以上のメンテナンスは不可能」と通告されるケースは少なくありません。高額な機器の突然の停止は経営リスクにつながるため、導入時からメンテナンス期間を見据え、適切なタイミングで更新を行う必要があります。
DXの推進による成果
DXを進めることで、少ない人数で高い成果を上げる環境が整い、業務効率化にとどまらず、現場の負担軽減や賃金向上といった好循環を生み出すことが可能です。DXは単なる技術の導入ではなく、働き方を根本から変革するプロセスであり、持続的な事業成長を支えるための必須施策です。