企業成長の光と影 〜次なるステージへ、一人ひとりの挑戦〜
事業拡大と高まる存在感
この数年、私たちの会社は目覚ましい成長を遂げました。事業は拡大し、社会における私たちの存在感も日々高まっています。この成果は、社員一人ひとりの熱意と努力の結果に他なりません。
しかし、輝かしい成長の「光」が強くなるほど、その背後の「影」は必ず濃くなります。私たちが今まさに直面しているその「影」の部分、つまり「成長によって生じている課題」について、目を背けてはならないと考えています。
働きやすい環境の実現と、新たなる壁「生産性のジレンマ」
この数年で私たちの働く環境は大きく改善されました。福利厚生は充実し、コンプライアンスは強化され、誰もが安心して長く働ける、いわゆる「ホワイト」な環境が整備されてきています。これは、「社員一人ひとりを会社の最も大切な財産である」と考える哲学の表れであり、誇るべき成果です。
一方で、私たち一人ひとりの『稼ぐ力』、すなわち生産性は、この恵まれた環境に見合っているでしょうか? 制度が整い、環境が快適になるなかで、私たちの中に無意識の「甘え」や「依存」が生まれてはいないでしょうか?
これは、誰か個人を責める話では決してなく、成長企業が必ず直面するジレンマです。私たちは今、「働きがい」と「高い生産性」をいかにして両立させるかという、次なるステージの課題の入り口に立っているのです。
「ホスピタリティ」と「プロ意識」が生み出す、真の企業価値
では、この困難な課題を、私たちはどう乗り越えていけば良いのでしょうか。そのヒントは、私たちの基幹事業である会員制のハイメディック検診の価値の中に隠されています。
先日、転職してきたある検査技師の方が、こう問いかけてくれました。「ハイメディック検診は、なぜ利益を生み出せるのでしょうか?」と。
その技師の方の前職では、効率を追求し、マンパワーでとにかく多くの患者さんを診ることで利益を出していたそうです。それとは全く異なる、一人ひとりのお客様に時間をかける私たちのスタイルが、彼には不思議に映ったようです。
会員制であるハイメディックの圧倒的な価値は、その「高いがん発見率」にあります。一般の人間ドックの10倍以上という数字は、私たちの技術力と診断能力の高さを示すものです。しかし、それだけではありません。私たちが提供しているのは、単なる「検査」ではなく、「苦痛のない、快適な時間」という、“唯一無二の体験”です。
ラグジュアリーな環境で、心からリラックスしていただきながら、最高水準の検診を受けていただく。この「結果(発見率)」と「プロセス(快適性)」の両立こそが、私たちのブランドの核心です。
数をこなす施設では、技術は磨かれるかもしれません。しかし、数をこなすことに追われれば、必ずどこかでホスピタリティは失われます。私たちが目指すのは、スタッフ一人ひとりが、自らの仕事にプロとしての誇りを持ち、お客様に最高のホスピタリティを尽くすこと。その先にしか私たちの独自性ある未来はないと考えています。
「昨日からの進化」を合言葉に、未来を創造する
最後に、私たちの評価制度の根幹にある考え方をお伝えします。それは、「前の年からどれだけ進化したか」を最も重視する、というものです。今、業績が良い施設にいるからといって安泰ではありません。逆に、今は苦しい状況にあっても、そこから這い上がろうとする努力と進化を、会社は正当に評価します。
この哲学は、会社や組織だけでなく、私たち一人ひとりの日々の仕事にも当てはまるはずです。
「昨日の自分より、今日の自分はどれだけ進化したか?」
日々の業務の中で、このことを自問自答してみる必要があります。新しい知識を一つでも学ぶ。お客様への対応を少しでも工夫する。チームのために、自分ができることを一つ見つけて行動する。一人ひとりの小さな「進化」の積み重ねこそが、会社全体を前進させる唯一にして最大の原動力です。
私たちは今、企業成長の過程における、大きな岐路に立っています。皆で力を合わせ、知恵を出し合い、一緒に未来を創造していきたいと心から願っています。