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研究発表

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【自験例・横断研究結果】腟・腸内細菌叢のクロストークについての探求

1) 腟マイクロバイオームと腸内細菌叢の関連とエイジングによる変化, 影響因子に関する検討

吉形玲美 第15回抗加齢ウィメンズヘルス研究会発表スライドより抜粋

R Yoshikata, et al. Journal of Women’s Health 2022 (published online)より

・未閉経群と、閉経群の腟・腸内細菌叢の組成(門レベル)の比較
腸内細菌では、未閉経群と閉経群の組成(門レベル)の割合に大きな差はみられなかったが、腟内細菌では、閉経前後で組成(門レベル)の割合に大きな差
がみられました。
閉経前後ではグラム陽性菌(ラクトバチルス属が含まれる)であるFirmicutesとActinobacteriaは減少し、グラム陰性菌(日和見菌/病原菌が多く含まれる)であるBacteroidetesとProteobacteriaが増加しました。


・エクオール産生能とラクトバチルス属の関係
未閉経群において、尿中エクオール濃度とラクトバチルス属保有率は、正の相関関係を認めましたが、閉経後群において相関関係はみられませんでした。

・未閉経群の腟内・腸内ラクトバチルス属の関連性について
ラクトバチルス属の中でも良い菌とされるCSTⅠとCSTⅢは腟内で競合関係があり、腟・腸の間では共通しているラクトバチルス属が多く存在していることから、腸内と腟内のラクトバチルス属の間にクロストークがある可能性が示唆されました。


閉経後は、エストロゲンの減少により腟内でラクトバチルス産生能は低下しますが、今回対象の閉経群において腟内と腸内にラクトバチルス(CSTⅢ)が相関関係にあることがわかりました。
この結果から、腟内・腸間のクロストークによって、閉経群(閉経後)の腟内の主なラクトバチルスを獲得した可能性が示唆されました。

すべての世代で腟内の複数の病原菌と腸内細菌に関連が認められました。特に閉経群では、未閉経群に比べて多数の病原菌と腸内細菌との関連がみられました。

ラクトバチルス乳酸菌含有素材のフェミニンゾーンケアよるGSM改善効果と 腟マイクロバイオーム変化についての検討

吉形玲美 第15回抗加齢ウィメンズヘルス研究会発表スライドより抜粋

R.Yoshikata,et al.PLOSONE 2022より

・未閉経群および閉経群のいずれにおいても、ラクトバチルス乳酸菌含有素材を用いたフェムケア4週間の介入後、ラクトバチルス乳酸菌が増加し病原菌は減少しました。特に、閉経群の「ソープ」「クリーム」「腟内ジェル」3つのラクトバチルス乳酸菌含有素材を使用した群では、腟内の病原菌減少は顕著でした。

・閉経後に多い頻尿や尿もれ症状を有する過活動膀胱は、その疑いを含め研究対象の約3割にみられ、4週間のラクトバチルス乳酸菌含有素材を用いたフェムケアにより、症状スコアの有意な改善が認められました。
未閉経群、閉経群ともにフェムケア前にGSM症状を有した対象者において有意な症状改善がみられました。

これらの研究結果から、腟・腸マイクロバイオームのクロストークでは、特に女性ホルモンが減少する閉経後世代への影響が強いことが示されました。そして、腸内のラクトバチルス乳酸菌を増やし、病原菌を減らすことは腟内環境が改善する可能性が示唆されました。さらに、腟マイクロバイオームやGSM改善に、ラクトバチルス乳酸菌含有素材を用いたフェムケアの有用性が示唆されました。

まとめ
腟マイクロバイオームが良い状態であることは、女性の性器症状、尿路症状、性交関連症状を含むGSM症状の改善、さらには性病やHPV(ヒトパピローマウイルス)感染予防、婦人科がんリスクの低減など、女性のQOL向上と幅広い婦人科関連疾患の予防につながります。腸内環境の改善、さらには適切なフェムケアが重要であることが本研究により示されました。

<参考>試験方法

対象者:閉経・未閉経群69名の健常女性(27-76歳:平均年齢 47.6±12.6歳)
試験デザイン:ランダム化群間比較試験
試験期間:4週間
使用商品:est’re®(エストール) デリケートソフトウォッシュ、デリケートソフトジェルクリーム、インナージェル ラクトバチルス乳酸菌配合
調査項目(以下参照):
・腟内細菌叢検査(試験開始時と試験終了時の2回実施)
・腸内細菌叢検査(試験開始時と試験終了時の2回実施)
・腟内pH、腟細胞成熟度数
・アンケイート調査(不快症状の有無・種類、生活習慣、使用商品の使用感)
・卵巣機能検査(E2、FSH)
・エクオール産生能検査

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