世界が注目する日本の医療 ~課題と可能性~
日本への観光客は急増中でも、日本で医療を受ける人が少ない理由は?
SNSの普及や円安の影響もあり、日本を訪れる外国人の数は 年間 4,000 万人 を超える規模にまで増加しています。「安全性の高さ」「食の美味しさ」
「正確な交通網」などは世界中で大絶賛されており、日本はきわめて魅力的な観光国として再認識されています。
しかし、これだけ多くの観光客が訪れているにもかかわらず、日本で医療を受ける外国人は非常に少ないのが現状です。医療の質は世界トップクラスであるにもかかわらず、なぜ医療目的で訪れる方が少ないのでしょうか。
タイの「至れり尽くせり」なメディカルツーリズム
日本とは対照的に、タイのバンコクでは世界各国から良質な医療を求めて患者が集まり、メディカルツーリズムが大成功を収めています。私が実際に現地を視察したところ、タイの病院には各国の言語に対応した専用受付デスクが設けられ、言葉の壁を全く感じさせない万全の態勢が整っていました。さらに、他国で発症した患者さんを医療ヘリで空港から直接病院まで搬送するなど、日本では考えられないほど手厚い対応まで行われています。
お客様の不安を取り除き、スムーズに「医療を受けられる仕組み」があるかどうか この差が、大きな差を生んでいるのです。
日本の医療は 「 高品質で安い 」が、顧客のニーズに合致していない?
日本の医療は、保険診療制度によって価格が定められている関係上、海外の富裕層から見れば 「驚くほど安い」 という大きなメリットがあります。日
本人が保険で受ける検査・治療でも、外国人の方は全額自己負担となりますが、それでも母国に比べれば安価であり、保険のきかない自由診療すら「安い」と驚かれるほどです。
例えば、現在インバウンドで好評の「血液浄化療法(アフェレシス)」 は、外国人にとってリーズナブルな価格であることに加え、「数時間で終わる」「目に見えて効果が実感できる」といった手軽さが、旅行者のニーズにぴたりと合致しています。しかし、ここで壁となるのが「決まったメニュー」に縛られた検診モデルです。
2 日間の人間ドックをお勧めしても、観光を楽しみたい海外のお客様からは、「長すぎるので 1 日で終わらせたい」「胃カメラと大腸カメラを一度に行ってほしい」といったスポット的なご要望が数多く寄せられます。
海を渡る「メイド・イン・ジャパン」の医療
日本にお越しいただく(インバウンド)だけでなく、私たちの医療技術を直接海外へ届ける 「アウトバウンド」 の動きも本格化しています。アジアの富裕層の間では「自国で高度な治療を受けたい」というニーズが急速に高まっており、私たちの先進的な医療を直接展開する準備を進めています。
私たちが自信を持って日本の医療を世界に発信できるのは、医療施設を支える現場の皆さんが毎日懸命に、高品質なケアとサービスを提供してくださっているからにほかなりません。皆さんの日々の素晴らしい知識・技術・ホスピタリティこそが、世界に通用する最大の武器 なのです。