Advanced Medical Care Inc.

接遇のプロフェッショナルから、
メディカル事業のクオリティ向上の責任者へ

取締役
運営事業部 事業部長
川筋

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“やりたいことがあるから”貪欲な挑戦で接遇の世界へ

名古屋で学生生活を過ごしたのち、営業事務の職に就いていた川筋。英語を使う仕事をしたいとの思いから外資系航空会社に転職し、CAとして5年ほど勤務する。これが接遇の仕事との出会いである。その後、人の教育に携わりたいと、航空会社で学んだ経験を活かし、企業向けにビジネスマナーやコミュニケーション研修を提供する企業研修の講師に就く。 常に、“やってみたい”という思いが川筋を突き動かし、その挑戦は止まらない。企業研修の講師を経て、今度はホテルに転職し接客業に従事する。ホテルはお客様の滞在時間が長く、リピーターも多い。人と接するサービスに興味のある川筋は、かつて経験したCAと比べ、よりお客様と密に接することができると考えたのだ。その後、夫の転勤に伴い、名古屋のホテルから同系列の横浜のホテルに勤務地を移す。 そんな中、川筋の中にまた新たな挑戦への意欲がふつふつと湧きあがる。より人の人生に身近な存在となり、貢献できる仕事とは何か。その答えは“医療”だった。

サービスの最高峰“医療”への挑戦。そのスタートは「予約課」

健康という普遍的価値を支える医療は誰の人生にも密接に関わっている。サービスの最高峰とも言えるのではないだろうか。「医療に携わってみたい。」川筋はこれまでの接遇の経験を活かしながら、医療に携わることのできるAMCでの仕事を知り、入社を決意する。しかし、クリニックの現場に立ち患者様の受付やご案内などを行うコンシェルジュを希望していた川筋が配属されたのは「予約課」。すなわち、人間ドック・健診の予約受付を行うコールセンターだった。

川筋といえば、これまでにCAやホテルでの接客業、企業研修講師など、接遇サービスを極めてきた人物。その経歴を知れば、誰しもこの配属に違和感を覚えるだろう。川筋をコンシェルジュではなく、予約課に配属した真相をAMC社長の古川が今だからと明かす。「接遇経験者といえど、“医療”は一般的なサービス業とは別世界。医療の知識無くして、患者様対応をさせるわけにはいきませんでした。健診・ドックのコールセンターは医療知識を身に付ける上でうってつけなポジション。予約対応を通して医療の知識を身に付けてもらえたら。そんな意図があったのです。」当時の川筋は医療知識が無い上に、デスクワークも得意とはいえなかった。そんな川筋に対し、周りのスタッフからはあの人に務まるのだろうかと不安の声もあったという。想定外の配属、周りからの声をよそに、川筋は予約課という与えられた環境で目の前の仕事を懸命にこなす。 希望とは異なる部署に配属され、普通であれば、不満のひとつが出てもおかしくない。「予約受付業務であろうと、お客様と接することに違いはないです。与えられた仕事を精いっぱいやる、ただそれだけの思いでした。」川筋は何の不満もなかったと語る。 川筋のひたむきな仕事ぶりが古川の目に留まるのにそう時間はかからなかった。当時は社員数も少なく、社長も予約課も同じフロアで席を並べていた。社員の様子を間近で見ることのできる環境下で、川筋の電話対応の素晴らしさは群を抜いており、圧倒的な接遇力に古川は目を見張るのである。さらに、医療の知識もどんどん吸収していったのだ。いい意味で期待を裏切られた古川は直ちに川筋をデンタルクリニックのコンシェルジュ・事務の責任者に抜擢。それは川筋が入社してからわずか2ヶ月後のことであった。

「まだ生きてるから」接遇を通して得られた患者様との絆

“与えられた場所で最善を尽くす”その姿勢はどの部署に移ろうともぶれることはなかった。デンタルクリニックののち、外来診療、健診・ドックセンター、特別診察室と数々の部署でコンシェルジュと事務の責任者を歴任する。
医療という現場ゆえの苦労ももちろんある。これまでの航空会社やホテルでのサービスとは違い、お客様や患者様のご要望に全て応じられるわけではないという点はいまだ心苦しく感じることもあるという。「もちろんご希望に添えるよう代替案は考えるのですが、医療上の決まりや制限があってお応えできないこともあるのです。」お客様や患者様の心に寄り添い、何とかしてご要望にお応えしたい。“献身”という言葉にふさわしい川筋だからこその葛藤だろう。 一方、医療業界でしか得られないような経験もできた。 ある患者様が医師からがんと宣告されたときのこと。突然のがん宣告に、「紹介された病院で本当に良いのか」、「もっと医師に聞きたいことがあったはずなのに気が動転して聞けなかった」と、不安に押しつぶされそうになりながら、川筋のいる受付にお越しになったという。途方に暮れる患者様に、川筋はもう一度聞きそびれたことを医師に聞けるよう手配した。医師ときちんと話ができた患者様は、紹介先の病院を変え、そこで手術を受けることに。患者様が無事に手術を終え、「わたし、まだ生きてるから」そう連絡をくださった時には本当に嬉しかった。その後も年に1回定期的に健診にいらっしゃり、「健康になったから、また頑張る。」と前向きな言葉をくださるという。尊い命を扱う医療機関だからこそ得られた患者様との絆に、この仕事をいて良かったと心底感じられたのだった。医師には話しづらいことをコンシェルジュになら打ち明けられる。これもコンシェルジュにしかできない大切な仕事のひとつだ。

メディカル事業全体のクオリティを底上げ。新たなミッション。

接遇の責任者としてだけでなく、経営にも責任をもつ支配人としての責務を全うしながらも患者様へのホスピタリティに妥協しない川筋の仕事ぶりの評判は、AMC内だけにとどまらなかった。東京ミッドタウンクリニックをはじめとするAMCが運営支援する医療施設だけでなく、親会社にあたるリゾートトラスト(株)が手掛けるすべてのメディカル事業において、医療サービスのクオリティ向上に責任をもつ、リゾートトラスト(株)メディカル本部のクオリティマネジメント部の部長に抜擢されたのだ。誰もが納得の人事であった。

そして会員制総合メディカルサービスを提供する(株)ハイメディックの取締役に就任し、組織の運営全体に責任を持つ立場となった。クオリティマネジメント部の部長職も兼務しているため、今でも東京ミッドタウンクリニックに来ることがある。自分が接遇の課長や支配人であった時代にまだ慣れない新人であったコンシェルジュが頼もしい中堅となり、後輩を指導しているシーンを見かけると、感慨深いものがあるという。昇進し現場を離れてしまうのが、本音を言えばとてもつらかったという川筋だが、創業からずっと掲げている「医療にもホスピタリティを」という精神が人から人へ受け継がれているのを感じた時、自分が次のステージに進み次の世代に引き継いだことに意味があったのだと感じるという。

忙しい中でもいつも前向きな川筋に、心の持ち方を聞いてみた。「この世で起きたことは、この世で解決できると思っているんです!」日々起きる課題は必ず解決できるのだと前向きに捉え、目をそむけないことが重要だという。そんな川筋もプライベートではジムに通ったり、ゴルフに行ったりと身体を動かすことでリフレッシュしているそうだ。こうした楽しみを持つことも川筋を前向きにさせてくれる。

※所属・インタビュー内容は、2019年7月時点のものです
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