株式会社アドバンスト・メディカル・ケア

認知症に希望の光プラズマローゲン

専門家の声

専門家の声

Vol.09
「認知症」の予防。今、自分でできること

かかりつけ医が地域を救う認知症の予防と早期発見には、なんでも話せる医師が必要

下館胃腸科医院のある茨城県筑西市は人口が約10万人の地方都市。高齢化率は約28%で全国平均を超えています。下館胃腸科医院は下館駅から歩いて10分程度の距離に位置し、内科・外科を専門とした医療機関として地域医療を支えています。さらに特定健診後の健康指導による病気の予防、生活習慣病や禁煙外来、睡眠時無呼吸症候群などの診断や治療など、胃腸以外の分野に関しても幅広く地域のニーズに応えています。今回のテーマは認知症。下館胃腸科医院では認知症の早期発見にも力を入れています。

厚生労働省の発表によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症になっています。そしてその数は増え、2025年には700万人を超え、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症になると試算されています。認知症対策にとって一番重要なのは普段からの健康管理と早期発見です。院長の久野先生は地域の患者さんの健康管理、そして診察中のざっくばらんな会話の中から細やかな変化を察知して、検査に導いていらっしゃいます。久野先生に認知症にならないための、普段からの予防(生活習慣の改善)と早期発見についてお伺いしていきます。

医療法人宗心会下館胃腸科医院(茨城県筑西市)
院長 久野 宗寛 先生

車社会の地方では歩かない人が多い

当院のある筑西市は2005年に1市3町が対等合併して誕生しました。梨の生産量が県内1位で、他に、とちおとめなどの苺の生産が盛んな農業都市です。当院のある下館地区には市街地がありますが、住宅地は広い市域のほぼ全域に点在していて、生活行動圏が市外に広がりました。住民の移動は車が中心になり、都市別の1世帯あたりの自家用乗用車保有台数では全国1位を記録するような、車社会の代表的な都市となっています。

大都市と地方都市を比較してみて、生活において一番の違いは、地方は車社会ということです。平日は車で通勤しますし、休日の買い物も車を使います。ちょっとした外出でも距離があるため、車を使うのが当たり前の生活です。例えば東京で暮らしていると、通勤はほとんど電車を使うでしょう。家から駅まで歩く、駅から会社まで歩くなど、東京の居住者の方がよっぽど歩いているかもしれません。車生活に慣れた地方居住者は、実は運動不足になっている場合もあるのです。

今回のテーマである認知症もそうですが、糖尿病や高血圧など様々な病気に関連しているのは生活習慣です。特に運動習慣を持つことはとても大切です。脳を良い状態に保つためには、運動習慣と食習慣がベースになります。そしてよく寝て、人とコミュニケーションをとることで病気の予防になるでしょう。

運動、食事、そして禁煙で病気を遠ざける

車社会でも工夫してウォーキング習慣をつける

私の健康管理方法ですが、運動、食事、そして煙草は吸わないということですね。まず運動に関しては、意識して歩くようにしています。都内に仕事で出るときなんかは、坂道を探して登っています。最近はテレビの散歩番組で、東京の坂を特集したりしています。東京の坂は、名前がついているものだけで800以上もあるそうです。なかでも江戸時代に武家屋敷の多かった文京区や港区あたりは坂がたくさんあります。江戸時代の歴史に思いをはせながら坂を探したり登ったりするのは楽しいものです。特に谷根千(やねせん)と呼ばれる文京区の谷中や根津、千駄木あたりは散歩の休憩によい喫茶店や色々なお店があって飽きません。地元のスーパーで買い物する時は、あえて入口付近に駐車せずに、一番遠い場所に駐車します。地方のスーパーは駐車場も大きいですから、それだけでも、けっこうな距離を歩くことになります。この方法はオススメですよ。私は妻と一緒に月に二回くらいはゴルフに出かけています。これも歩く習慣の一つです。先日は一緒に回った方が80歳だったのですが、1ラウンド回った後に、ハーフを追加でプレイしていました。とっても足腰も頭も元気な方でした。習慣の力を感じましたね。

油ものを避けて、野菜を多めに摂取する

食事に関してですが、なるべく自宅で食べるようにしています。そして油ものは控えています。医学系の集まりで天ぷらなどが入ったお弁当などがでるときなども、一つくらいにしておきます。基本的に揚げ物はあまり食べませんね。あと野菜も炒めるよりも、蒸したり、生野菜をよく噛んで食べることが多いですね。食べ方もなるべく野菜から食べるようにしています。もちろん患者さんによって、色々な方がいらっしゃいますので、当院では管理栄養士がきて、患者さんに食事指導を行っています。カロリーなどの栄養素の計算をして一日の摂取目標を作っています。

あと個人的にはサプリメントを食事に追加しています。CoQ10、ペプチド、そしてプラズマローゲンです。なかなか普段の食事からは摂取するのが難しいものを選んで飲んでいます。

たまに患者さんから、サプリメント摂取の相談を受けることがあります。プラズマローゲンは、認知症の診断はついていないけれども、物忘れが気になる方に勧めることもあります。予防という位置づけなので、早いうちから飲んでも問題ありません。藤野先生の神経細胞の新生のエビデンスが強固なものになっていけば、もっと普及していくでしょうね。

下館胃腸科医院は敷地内すべて禁煙

禁煙はあらゆる面で健康面にプラスの効果をもたらします。当院は禁煙外来をやっていっていることもあって、敷地内はすべて禁煙です。職員も煙草を吸うことはできません。禁煙したいけど、なかなか出来ない、長続きしない、などの場合は禁煙外来に相談してみることも良いと思います。

夏場の健康管理のポイント

これから夏の暑い時期を迎えます。当院でも、暑くなるにつれて熱中症で運ばれてくる高齢者が増えます。中でも多いのが脱水症状ですね。喉が渇く感じを「口渇感(こうかつかん)」と言いますが、高齢になると口渇感を感じにくくなります。身体は水分を求めているのに、水を飲みたいという欲求にならないんですね。そして「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といって、汗をかいたという感覚がないまま、無意識のうちに身体から水分が蒸発する現象があります。この二つが合わさって脱水になることもあります。夜中にトイレに起きてしまう人もいると思いますが、トイレにいったら、出した分くらいは水分を補給するように心がけた方が良いと思います。こまめな水分補給を億劫だと思わずに、意識して水分補給するようにしましょう。

もう一つ、夏場は睡眠不足になりがちですね。エアコンを入れない方もいらっしゃるようですが、室内は適度に温度調節することが大切です。最近はパソコンや携帯電話などの使用率が上がってきました。画面からはブルーライトがでています。ブルーライトには興奮作用がありますので、寝る前まで操作しているのは寝付きにくい原因になります。

認知症の早期発見には、話しやすい環境が必要

患者さんとは話をよくするようにしています。ずっと通われている方もいますので、その方の特徴などは覚えています。ちょっと変化があるなと思ったら、こちらから声をかけるようにしています。また、話しやすい環境を作ることで、物忘れが多くなった、最近ミスが多いと人から指摘されるようになったなど、ちょっとしたことでも検査につなげることができます。まずは簡易検査をして、認知症専門医療機関と連携して診断や加療をしています。

久野先生は、地域のかかりつけ医の代表ともいえる活動をしていらっしゃいました。患者側からは、認知症の判断などはなかなか難しく、ちょっとした記憶の間違いなどで不安になってしまうこともあります。内科・外科を専門とした医療機関という機能をベースにしながら、生活習慣や食事の指導、そして認知症の早期発見まで対応してくれる病院・クリニック、そしてドクターがいることは、地域住民にとって、とても心強いですね。読者の方にとっては、久野先生のようなかかりつけ医と早めにコミュニケーションを深めておくことが、健康寿命を延ばす一つの方法になるでしょう。