人生100年時代を健やかに美しく女性の健康

研究発表

研究発表


第25回日本抗加齢医学会総会において、「女性医療」のセッションで発表を行いました。

2025年6月13日~15日、グランキューブ大阪(大阪国際会議場)にて、第25回日本抗加齢医学会総会が開催されました。

吉形先生からは、「女性医療」のセッションにて、“当院オリジナル検診「更年期診断パック」を活用した女性更年期検診への提案”のタイトルで発表がありました。

更年期世代に対する必要な検査は?

一般的に企業検診では女性に対し子宮頸がん、乳がん健診が行われ、企業により年齢問わずこれから婦人科検診がついていない場合もあります。また自治体健診では、子宮頸がん、乳がん検診のほか、骨粗しょう症検診が受けられますが自治体により未実施のところもみられます。

女性のライフステージにおける女性の健康課題をみていくと、子宮頸がん、乳がんといったがん検診も大事ですが、更年期世代以降に悪化しやすい骨密度や動脈硬化の検査も実施するのが理想ではないかと考えます。そこで、当院では2012年から女性のライフステージに合わせた女性向け世代別検診を実施しています。

ハマサイトオリジナル世代別婦人科ドック

更年期診断パック 受診動機は「検査希望」、気になる症状は「不眠」

対象:2023年2月〜2025年3月 当院「更年期診断パック」検診を受診し研究同意を得た41例 42〜60歳(平均:49歳)

調査内容:問診票(自記式:月経歴、妊娠出産歴、現病歴/既往歴・管理内容、受診のきっかけ・主訴など)

身体測定(身長、体重、血圧)

エクオール産生能検査(尿検査:ソイチェック®️)

更年期症状アンケート(簡易更年期指数:SMI)

動脈硬化検査(血圧脈波検査:baPWV)

骨密度検査(橈骨DEXA法)

41例を問診から未閉経、周閉経、閉経と3群に分けて解析を行いました。

●受診動機となった理由・症状

受診動機は検査希望がもっとも多く未閉経群が大多数を占めました。気になる症状は不眠が最も多く、3群全体で認められました。

●更年期症状対策の内容

「何もしていない」が27例、全体の66%

受診動機に「検査希望」が多く、現時点では「対策はまだ無し」の数が約66%と多いことが考えられます。なんらかの症状対策を行なっている割合は約34%。対策の中で最も多かったのはエクオールサプリメントの摂取でした。検診にエクオール産生能検査があることから、エクオールについての情報リテラシーが高い集団であることが示唆されました。

更年期症状スコア(SMI)とエクオール産生能の関係

エクオール産生能検査キットでは、尿中エクオール濃度が1μM以上でも「産生能あり」と示されます。この検査方法で理想とされる尿中エクオール濃度は10μM以上ですが、この値を満たしている例はすべてSMIが50以下(更年期症状のレベル:軽微、軽度)という結果が示されました。エクオールサプリメントを摂取している受信者は8例いましたが尿中エクオール濃度が10μM以上は1例のみという結果でした。

エクオールサプリメントを飲んでいても飲み忘れや、サプリメントの種類などから必要量が摂れていない、あるいは腸内環境が悪いなどの理由からエクオールが十分に吸収されていないことが考えられます。エクオールサプリメントを飲んでいても、自身の体にしっかり届いているのか、エクオール産生能検査キットで尿中エクオール濃度を確認することも勧められます。

骨密度、動脈硬化指数(baPWV)世代間比較

未閉経、周閉経、閉経3群の骨密度平均値はそれぞれ正常範囲でしたが、未閉経群、周閉経群に対して閉経群は有意に低値でした。個別にみていくと、閉経群では正常低値、骨粗しょう症の例が散見されました。

動脈硬化指数も、3群のbaPWV値は正常範囲でしたが、未閉経群、周閉経群、閉経群と緩やかな上昇を認めました。個別にみていくと、動脈硬化リスク有りの例が散見され、ハイリスク例も見られました。

まとめ

今回更年期診断パックを活用した解析を様々な方向から解析を行いました。厚労省の調査からもわかるように、アセスメントや対処法などに対する情報のニーズが高い傾向にあります。簡易更年期指数(SMI)などを活用した症状アンケートを導入することさらに、周閉経期から定期的な骨密度検査、動脈硬化検査の実施が望まれます。更年期症状緩和の観点から理想のエクオール産生能は10μM以上がひとつの目標となるので、サプリメントを飲んでいる方でも、産生能検査キットで確かめてみることも必要なのではということも今回の検討で示されました。

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