人生100年時代を健やかに美しく女性の健康
研究発表
第22回国際栄養学会議において、「健常男女の血中および尿中エクオール濃度の比較とエクオール生成に影響を及ぼす因子の検討」についてポスターセッションで発表されました。
男女ともに有効なエクオール
2022年12月6日~11日東京国際フォーラムで、「第22回国際栄養学会議」が開催されました。吉形医師は、ハイメディック京大病院で健診を受診した健康な男女466名(男性292名、女性174名)の血中および尿中エクオール濃度の比較と、エクオール産生に影響を及ぼす因子について、ポスターセッションで発表しました。男性を対象にしたエクオールの期待される効果についても改めて知る機会となり、エクオールは更年期以降の男女ともに有効な成分であることがわかりました。
血中及び尿中のエクオール濃度と他のパラメータとの関係
エクオールは、大豆由来のイソフラボンの一つであるダイゼインの活性代謝物です。腸内細菌の作用により産生され、エストロゲン様作用があります。エクオール産生者は非産生者と比べ、更年期障害が軽い、良好な骨密度および脂質代謝、乳がんおよび前立腺がんのリスクが低いなどが知られています。しかし、エクオールの産生能には大きな個人差があります。そこで本研究では、血中および尿中のエクオール濃度と各種パラメータ(性、年齢、内分泌機能、糖代謝、脂質代謝、腎機能)との関係を検討しました。
【方法】
22歳から88歳(平均年齢55歳)の健康な男女466名(男性292名、女性174名)の血液と尿から、エクオール濃度を同時に測定した。エクオール濃度はLC-MS/MS法により測定した。エクオール産生者は、尿中エクオール濃度とダイゼイン濃度の対数比または対数(エクオール/ダイゼイン)が-1.42以上の者と定義された。各種パラメータも同時に測定を実施した。
男性のエクオール産生者は、前立腺がんが低リスク
前立腺がんのリスク指標となるPSA(前立腺特異抗原)値を調べた結果、エクオールが産生できる人ではPSA値が有意に低い傾向にみられ、逆にPSA値が高いとエクオールの産生できる人の割合が低いことがわかりました。(4.4% vs. 5.1%, p=0.068)。
また、エクオールが産生できていない人では、LDLコレステロール値が高く、HDLコレステロールが低く、尿酸値が高いという傾向がみられました。
女性では、エクオールが産生できない人では、LDLコレステロール、中性脂肪、尿酸値が高い傾向がみられました。
男女ともに生活習慣病にエクオールが有効
エクオール産生能は女性で高い傾向にあり,エストロゲンホルモンとエクオール産生能の関係が示唆されました。エクオールの体内動態については,男女ともエクオール産生能による尿中排泄量の差は認められず,腸内代謝以外の内因性要因が少ないことが考えられました。男性では、エクオール産生能を有する被験者のPSA値は有意に低く、エクオール産生能と前立腺疾患のリスク低減の関係が示されました。
女性、男性ともにエクオール産生者は血中脂質や尿酸値に対して良い影響を与えることが示唆され、エクオールが生活習慣病対策の一つの成分として期待されます。
エクオール
成分情報
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